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2009年11月17日 (火)

すべては犬に救われる 乃南アサ 著 『凍える牙』 ミステリー作法 その3

1996年 直木賞受賞作 = 作者は、人気・実力ともにある流行作家です。

一応、女刑事が、主人公になっていますが、本当の主役は、ウルフドッグと呼ばれるオオカミとのハイブリット犬です。犬はしゃべれませんから、ストーリーを説明する道化回しとして、女刑事の出演時間が長くなっているだけです。もし、こんな素晴らしい犬が登場していなければ、僕の評価は、全くの駄作です。だから、「全ては犬に救われる」です。もちろん、ミステリー作法その2の「すべてはFになる」を受けて、僕が考えたタイトルです。以下は、ネタをばらさないと、なぜ、このウルフドッグが、カッコイイかわかりません。だから、未読の方で、新鮮な気持ちで、この本を読みたい方はここまでで、読むのをやめてください。

物語の途中で、飼い主(元警察犬の訓練士)とその娘、ウルフドッグの3人家族が登場します。2人と1匹ではなく、3人家族です。実は、この娘さん、シャブ漬けになって、廃人同様、子供並みの知能しかありません。普段は、精神病院で治療を受けてます。で、毎月1回、外泊許可をもらって、家に帰ります。迎えに来る時は、父親と共に、ウルフドッグが一緒に来ます。娘は、ウルフドッグを見て、「ワンワンだ」と言ってじゃれつきます。オオカミの血が混じっている訳ですから、本当は大きくて怖そうな犬です。それが、娘のされるがままに、一向に嫌そうなそぶりを見せません。むしろ、娘の守護者(ガーディアン)だと言う態度を全身で表わしています。実際、アニマルセラピー的効果で、娘さんの容体は少し良くなってきています。そんな3人の様子を見て、病院の医師は、本当は飼うのがすごく難しい、ウルフドッグを自分も買ってみたいなと思うほどの、いい感じなのです。

ここで、事件が発生します。家に放火されて、父親と娘が焼死し、ウルフドッグは姿を隠します。警察が調べると、父親はウルフドッグを使って、娘を廃人にした元不良2人を殺しています。その連続殺人の途中で、別の殺人者 X の犯行を目撃してしまいます。父親は自分も連続殺人犯ですから、そのことを警察に通報しません。一方 X にとって、もし、父親が警察に捕まれば、当然、自分のことも自供するだろうと考えます。だから、先手を打って、殺したわけです。

ここからは、映画などでよくあるパターン。最愛の人を惨殺された人が、自らも殺人容疑で警察に追われつつ、仇を追い詰める。これを、並みの人間以上に、ウルフドッグが、気高く崇高に演じます。そして、ラスト。これを話すと、完全なネタばらしになるのでやめときます。

父親が、復讐など考えなければ、3人の平和な生活は今も続いています。そう考えると、主人公のウルフドッグが、可哀そうで仕方ありません。悲劇的な殺人者と言う、僕の好みにピタリとハマります。だから、傑作ではないが、佳作だとは思います(おわり)。

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